就労事業所での障がい者に対する傷害事件について

【見解】

 去る9月28日の信濃毎日新聞に大きく報道された上田市内の障がい者就労施設での障がい者に対する傷害事件は、障がい者施設等の運営者および利用者にとって衝撃を与えるものだった。私たちはこの事件を自分の問題として考えてみようと思う。

 事件の内容は、職員が障がい者をパイプ椅子で暴行を加えてけがをさせた、というものです。これは6年前の「津久井やまゆり事件」を彷彿させるものでした。

 傷害事件に至るまで、虐待は繰り返され、周囲の人たちも傍観していたのか、見て見ぬふりをしていたのか、あるいは虐待と認識していなかった可能性も高いと思われる。

 もし虐待と認識していなかったならば、認識上の深刻な問題となるであろう。

 過去に福祉の現場で「指導」という名のもとに暴力行為が公然と行われていた施設等もあった。そこには障がい者に対する深い差別意識が存在していた。

 また、障がい者が自ら虐待されていることを訴えることは殆どなく、我慢して耐えることが多い現実がある。したがって虐待の把握および虐待の防止の難しさがある。

 国に障がい者虐待防止法が存在し、長野県でも毎年研修を行い、各事業所に研修を義務づけているが、虐待の件数は増加している。

 私どもの法人でも虐待の案件が存在し、その都度検討し、改善を行ってきているが、まだ十分とは言えない。

 今まで各事業所任せになっていた研修は、今年度からは法人全体の研修として行うことに決めている。

 虐待を防止するこにとって大切なことは虐待の根底にある、虐待をする側、つまり使用者・運営者・職員の側に差別意識=優位者意識があることだ。

 優位者意識=自分の方が偉い、自分の方が人間として上だ、がある限り「差別する→虐待する」を誘発するであろう。

 

【決意】

 私たちは今回の障がい者傷害事件を「他山の石」として障がい者と向き合い、虐待の防止および差別の撲滅を推し進めることが必要かつ重要である。

 「わっこ自立福祉会」理事会の総意として、この決意を表明する。

2022年10月吉日

就労事業所での障がい者に対する傷害事件について” に対して1件のコメントがあります。

  1. 松原アトム より:

    私も障がい者の支援グループに参加して、健常者と分け隔てのない共生社会の実現を夢見ています。
    非常に残念な事例ですが、改善できるよう努力して行きましょう。

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