「無言館」を訪れて

無言館

無言館を久しぶりに訪れた。2年ぶりだった。毎年お盆に訪れていたが、コロナ感染が拡大している中で休んでいたが、16日におとずれた。静寂のなかで、戦争に翻弄され描くことを断念した画学生の息づかい、漂ってくる。絵画の前を連れ合いとゆっくり歩きながら見入っていると、高次機能障害を持つ連れ合いが、一人の裸婦の婦人像をずっと立ちどまって見入っていた。静かに見入っている姿が画学生の姿とダブって見えた。

30年前の青春時代の出来事が浮かんでくる。私たちの世代は遅れて来た全共闘世代として高校時代を過ごした。ベトナム反戦で毎週長野高校に集まり長野駅まで静かなデモ行進をした。長野駅前につく頃には60名ぐらいに膨れ上がり、学生服やセーラー服の着高校生も多く参加していた。周りには教員が自分の高校の生徒を探して囲んでいた。翌日学校に行くと誰がデモに行ったか詰問された。懐かしい出来事だ。高校でも制服、制帽の自由化、校則の廃止と民主化を求める運動が広がっていた。その後長野県の殆どの高校での制服、制帽の自由化が実現した。遅れた全共闘世代の思い出になった。

 2月24日にウクライナへロシアが侵略を始め、ベトナム戦争を超える虐殺と無差別攻撃が繰り返されている。世界中に戦争と飢餓と貧困が広がっている。今の世界の状況を語るにはあまりにも混沌としている。かってならベトナム人民に勝利を、アメリカはベトナムから出ていけと叫び、世界の若者は立ち上がったが、そうではない状況がある。ウクライナ避難民は1000万人超えている。ヨーロッパ各国に避難をしているが生活苦は続き、受け入れた国も負担の増大に支援を後退させている。NTO各国、アメリカをはじめとして大量の武器援助や経済制裁を行い、侵略を押しとどめようとしているが目標が定かではない。ロシアは大量の石油、天然ガス、食料を背景に世界を揺さぶっている。ヨーロッパ各国はロシアの天然ガスに依存していたことも明らかになった。穀物もそうだ実に脆弱な依存だった。グローバル世界が冷戦時代を終わり、新たなパワーバランスに入っていることをはっきり示しているように見える。まるで400年前の戦国時代の様相を示している。

無言館で画学生が語りかかけた平和な世界がいつ訪れるのだろうか。ウクライナの人たちの平和と安住の地が再び訪れることを願いながら、パワーバランス出ない平和が訪れることを!ウクライナな人民に勝利を!

                               70過ぎた爺さん 

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