第16回ハンセン病市民学会全国交流集会in長野が開催されました
あいさつ (開催地実行委員会 実行委員長 伊波敏男様)
第16回ハンセン病市民学会全国交流集会in長野は、新型コロナウイルス感染拡大により、2020年度開催予定を2年延期し、開催可能な集会の在り方を模索し準備を進めてきましたが、全国から多くの皆様が直接ご参加あるいはオンラインでご参加いただくハイブリッド方式で本日の開催を迎えることが出来ました。
本集会開催にあたって、長野県、長野県教育委員会、長野市、長野市教育委員会をはじめ、県内各市町村ならびに広範な関係機関・団体、報道機関等から賛同・後援をいただきました。3年におよぶ関係の皆様の格別のご理解とご支援に深く感謝申し上げます。
さて、長野県にはハンセン病療養所がありません。「無らい県運動」により、患者の人たちを他県の療養所へ送ってしまったあと、多くの県民がずっと関わらずに無関心でいてしまったという歴史があります。本集会が、療養所がない長野県で開催されることは、無関心であった
自分たちもハンセン病問題の当事者ではないかと思いをめぐらした時に、大変意義深いものがあります。
また、新型コロナウイルス感染拡大は、分断、攻撃、誹謗中傷、差別という人間の心を浮き彫りにしました。多くの人たちが自分が差別されるかもしれない恐れを感じながら、しかし、人を差別する側には立ちたくないと真剣に悩み考えていたと思います。差別する意識は、ハンセン病問題と同じであるとの指摘もされたところです。ハンセン病問題から何を学んできたかも問われていると思います。
長野集会では、全体テーマを『求めてきたもの、そして今~新型コロナウイルス感染症とハンセン病問題 幾重もの分断を超えて~』としました。参加されるお一人お一人にとっても「幾重」もの思いや願いをもってこの集会に臨んでいると思います。本集会が、分断されてしまった多くのものを一つ一つ修復する取り組みにつながることを願っています。
奇しくも、本集会準備期間中の2021年2月に、長野県大町警察署の「明治三十二年 癩病患者並血統家系調」流出、ネットオークション出品という事態を信濃毎日新聞が報道しました。不安や恐怖を感じている全国の隔離政策の被害者の方たちに対して、私たちは何ができるのか真摯に学び考え合う機会を、本集会によって与えられたと思っています。
最後になりますが、本集会の開催に際し、ご教示・ご尽力いただきました多くの皆様に感謝を申し上げるとともに、今後とも、長野県のハンセン病問題への取り組みならびに人権が尊重される社会づくりのさらなる推進に向けて、全国の皆様からご助言やお力添えを賜りますよう、お願い申し上げます。