盲導犬ジャスミンの歌(広沢里枝子様・作)
2023年5月18日に広沢里枝子さんと9年間共に歩いてきた盲導犬ジャスミンが引 退しました。里枝子さんの了解をえて、思い出の短歌を掲載します。
◇四頭の盲導犬と苦楽をば共にしてきぬ三十五年
◇盲導犬の引くを頼りに両側に河音迫る坂下り行く
◇盲導犬の入店こばまれ梅雨寒の外に冷たきアイスを舐める
◇盲導犬と並んで画面に手を振れば生徒も皆で手を振りくるる
◇巨大なる獣の背中行くごとし素足に春の芝生を踏めば
◇舞い上がる小さな羽音耳で追い盲導犬としばし佇む
◇ホームから見えぬ仲間が落ちて死ぬ今年四人目われも盲目
◇盲導犬は病後のわれを気遣いて振り向き振り向き公園までを
◇行きたいところへ行ける喜び噛みしめつつ盲導犬と電車の旅を
◇雪の野に盲導犬とわが足の跡続くらん空からみれば
◇盲導犬の足に火傷をさせぬよう出かける前に路面に触る
◇盲導犬と甘き香りを吸いおれば「ポポーが熟しました」と教えてもらう
◇道に迷いて老盲導犬に伏せをさせ両手を合わせ神に祈りを
里枝子&ジャスミン