【爺さんのたわごと】介護制度は壊れ始めている?

介護保険制度が近年大きく変化してきている。大きくは要支援が自治体の総合事業にかわり、各種の加算の一割が利用者の負担になっている。介護保険財政の赤字と介護職場の職員の処遇改善のためだと政府はいう。さらに今後介護度の1,2は総合事業に、ケアプランの有料化等3年ごとの報酬改定と5年ごとの制度の見直しでさらに介護保険は、保険料を徴収されてもサービスがない時代になりつつある。すでにサービスを利用できない人や介護疲れで心中、殺人が起きている。親の介護のために離職し生活困窮になる人も出ている。これらの問題をなぜ改定時に議論しないのだろうか。過って介護保険制度を作るために多くの人たちが行動を起こした。わっこも学習会を開催した。当時参議院議員だった今井さんを読んで講演会を開いた。介護保険制度が障がい者の介護制度につながると考えたからだ。再び介護保障制度を介護保険、障がい者サービスと分けるのではなく権利としての介護保障制度として確立する必要を感じる。

1,なぜ介護は分断されるのか

現在介護保険にせよ、障がい福祉サービスにしても、訪問介護の中身は、家事、身体、移動に分かれて報酬が支払われている。基本30分を基準にして。人間の営みは御飯も食べるしトイレにも行くし、買い物もある。営みが切れることはあり得ない。にも拘わらず、介護を分断して単価に差をつけるのか。介護をわけないサービスは、障がい福祉サービスにある「重度訪問介護」がそれにあたる。重度障害で長時間の介護が必要で、障害程度区分4以上の人が対象とされている。身体介護の単価に比べ、家事援助の単価は低すぎる。現に大手の介護事業者は「家事援助」は安すぎて出来ないと言っている始末だ。これにも一理がある、確かに介護現場の職員の報酬は低い。働くことで将来の見通しがたたないのも事実だ。しかも基本単価をあげるのでなく、加算を増やして報酬をあげている。その結果介護保険利用者の負担は増えサービスの手控えが増える。高齢になればなるほど悲惨な現実がある。さらに介護保険では社会性が奪われる。外出、趣味の活動がサービスとして提供されない。障害サービスで提供されている移動支援、視覚障害者に特化した同行援護が一部の人にしか提供されない。より一層高齢者が社会で活躍してもらうために高齢障がい者に解放されるべきではないだろうか。

2,なぜ人件費補助方式から事業補助方式になったのか

 介護職員の報酬の低さだ。原因の一つに介護保険制度が発足する前に社会福祉制度構造改革に基を発した措置制度から契約制度の転換にある。行政サービスの簡素化と民間事業者の参入、更に年間の人件費を補助する「人件費補助方式」から出来高払いにする「事業補助方式」への転換があった。人件費補助方式は公務員給与と同じ方式で職員一人の年間給与として補助されるが、訪問介護職員も訪問先に半日、一日弁当持参で介護に行き、家事、身体わけなく、更には繕いもした。利用者も少なく、だれでも利用できる時代ではなかった。

今の時代は大きく変わった。誰でもがサービスを利用出来る時代にはなった。介護保険制度の恩恵とも言うべきだろう。でも今大きく介護難民とも言うべき制度からはじき出される人々が生み出されている。今考えるべき事は誰もが安心して介護を受けられる保証制度の確立ではないだろうか。

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